離婚の際の財産分与のお話です。
特有財産からの賃料収入は財産分与の対象となるでしょうか。
婚姻前から有する財産や,婚姻後でも相続や親族からの贈与によって得た財産は「固有財産」ないし「特有財産」といって,原則として財産分与の対象とはなりません。
では,遺産相続で取得した不動産から家賃収入を得ている場合,離婚するにあたってその蓄積分は財産分与の対象とすべきでしょうか。
この点は,基本的には,分与対象財産とすべきであり,特有財産が原資となっている点は寄与度の問題とすれば足りるでしょう。
たとえば夫が,賃貸用の不動産を相続し,その不動産から家賃を得ていたとします。その家賃として得たお金は,普段は生活費等に使っていましたが,それでも残ったお金があるとします。
この残ったお金を,妻が離婚時に,財産分与の対象として分けてもらえるのか,ということです。もともと夫の相続で得た不動産が生んだお金だからです。
相続した不動産そのものは,固有財産ないし特有財産として,財産分与の対象とはならないのが普通です。
ただし,賃料として得たお金の方は,通常は財産分与の対象に含めて,あとは寄与の問題とする・・・
「寄与の問題とする」というのはどういうことかというと,
通常は夫婦共有財産は夫と妻が2分の1で分けることになりますが,この賃料分に関しては夫の固有財産から生まれたことを加味して考え,夫の取り分を多くするとか,夫のみが取得するとか,そのような解決がありうるということです。
寄与の問題として考えると,夫が相続した不動産の維持・管理や賃料の回収等に妻がどの程度貢献していたか,その他もろもろの家計の事情,などの個別具体的な事情を考慮していくことになります。