不動産の共有者が死亡したが相続人がいない場合,死亡した者の共有持分はどうなるのか?

相続人がいない場合の被相続人の財産の取り扱い

被相続人に相続人がいる場合,相続人は,相続開始時から,被相続人の一身に専属したものを除いて,被相続人に属した一切の権利義務を引き継ぎます(民法896条)。
これに対し,被相続人に相続人のあることが明らかでない場合には,相続財産は法人とされ(民法951条),家庭裁判所が利害関係人又は検察官の請求によって相続財産管理人を選任します(同法952条)。
相続財産管理人は,相続財産を保存・管理し,必要に応じて相続財産を換価したうえ,相続債権者及び受遺者に弁済をするとともに,相続人を捜索します。相続人の不存在が確定した場合は,家庭裁判所は,被相続人と特別の縁故関係にあった者に対し,相続財産を分与することができることになっています(同法958条の3)。
このような手続きを経ても相続財産を引き継ぐものがない場合,または分与されなかった財産がある場合,相続財産は最終的に国庫に帰属することになります(同法959条)。

共有持分の場合

民法第255条は,「共有者の一人が,その持分を放棄したとき,又は死亡して相続人がないときは,その持分は,他の共有者に帰属する。」と規定しています。

民法第959条は「国庫に帰属する。」とし,共有物に関する民法255条は,「他の共有者に帰属する。」としています。そこでこの2つの条文の関係が問題となります。

民法255条の規定があるので,共有物の場合は,亡くなった者の共有持分は他の共有者が取得し,特別縁故者への分与の対象とはならないのではないか,争いがありました。

この点について最高裁は,共有持分は他の相続財産とともに特別縁故者に対する分与の対象となるものと判示しました。したがって,特別縁故者への分与がなされず,共有持分が承継する者のないまま相続財産として残存する場合にはじめて,他の共有者に帰属することになります(最二小判平成元年11月24日)。

不動産については,共有者が単独で持分移転登記申請をすることはできず,登記権利者(共有者)と登記義務者(相続財産法人)の共同申請によることが必要となります。また,登記原因証明情報として,特別縁故者が存在しないことを証する書面(特別縁故者不存在確定証明書)が必要となります。

共有者が亡くなり相続人がいなかったとしても,他の共有者はすぐに移転登記ができるわけではなく,上記のような一連の相続財産管理手続を経る必要があります。
「相続人がいない共有者の持分が,他の共有者に帰属しないことがあるのか?」,というご質問をいただくことがあります。特別縁故者への分与が認められ,共有持分が相続財産として残存しない場合は,他の共有者に帰属しないことになります。また,被相続人に債権者がおり,弁済のため,相続財産管理人が共有持分を換価する必要がある場合は,共有者は共有持分を買い取らなければならなくなるでしょう。
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