民法改正~請負

請負とは,請負人が仕事の完成を約し,注文者がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約する契約をいいます(民法632条)。

請負人の報酬請求

請負の報酬は完成した仕事の結果に支払われるものとされ,改正前は,仕事が完成に至らなかった場合の報酬についての明文の規定がありませんでした。一方で判例は,完成に至る前に請負契約が中途で解除された事案において,注文者が利益を受ける割合に応じて,請負人は報酬を請求することができるとしていました。

改正法は,割合的な報酬の請求は,請負が解除された場合に限らず,仕事の完成前に債務の履行ができなくなった場合全般に認めるのが合理的であることから,以下のように定めました。

  1. 注文者の責めに帰することができない事由によって仕事を完成することができなくなった場合
  2. 請負が仕事の完成前に解除された場合

において,請負人が既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは,その部分を仕事の完成とみなして,請負人は注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができます

注文者の責めに帰する事由によって仕事を完成することができなくなった場合は,危険負担の規定(民法536条第2項)によって,請負人は仕事が未了の部分を含めて全額の報酬請求ができます。ただし,自己の残債務を免れたことによる利益の償還は必要です(判例)。

請負人の担保責任

売買の規定を準用(559条→562条,563条,564条)

請負人の担保責任は,改正法では,売買の規定の準用による処理に委ねられることになりました。(559条により,売買に関する規定が請負を含む他の有償契約に準用されています。)

■目的物が契約の内容に適合しない場合に,請負人が担保責任を負います。

■注文者は

  1. 修補等の履行の追完
  2. 損害賠償請求
  3. 契約の解除
  4. 報酬減額請求←改正により新たに認められることになりました。

ができます。

修補に過分の費用を要する場合

改正前民法では,「瑕疵が重要でない場合」において,その「修補に過分の費用を要する」ときには,修補請求ができないものと定められていたので(改正前634条),瑕疵が重要な場合はその修補に過分の費用を要するときでも,請負人は修補義務を免れないことになってしまっていました。

技術の進歩によって高額の費用をかければ修補が可能な場合が出てくると,これでは請負人の負担が過大となる場合が生じてしまいます。

改正後は,この規定は削除され,修補に過分の費用を要するときは,修補は取引上の社会通念に照らして不能であると扱われ,注文者は請負人に修補を請求することはできないものと解されます(412条の2第1項)。

契約の解除の条件

改正法の下では,売買の場合と同様に解除の一般規定の適用によることになりましたので,
改正前の「契約の目的を達することができないとき(に解除できる)」(改正前635条)という条件が外れ,契約目的が達成不能となっていないときでも(軽微でない不履行であれば)催告解除が可能となります(541条)。

建物等の建築請負における解除権を制限する規定を削除

改正前民法635条ただし書では,仕事の目的物に瑕疵があり,そのために契約目的を達成することができない場合でも,仕事の目的物が建物その他の土地の工作物であるときは,注文者は契約を解除することができないものとされていました。

この規定は,土地の工作物の建築には多くの資材や労力が投下されているため,社会経済的な損失が大きいことを考慮したものといわれていますが,契約目的を達成できないような瑕疵のある土地の工作物を維持したとしても注文者がこれを利用することはできないため不合理ですし,判例も建替費用相当額の損害賠償請求を認めているので,解除の制限は実質的に意味を失っていたといえます。
そこで,改正法では,土地の工作物について解除を制限する規定は削除されました。

仕事の目的物の種類又は品質に関する請負人の担保責任の制限

636条は,請負人が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない仕事の目的物を注文者に引き渡したとき(その引渡しを要しない場合にあっては,仕事が終了した時に仕事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないとき)は,注文者は,注文者の供した材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じた不具合を理由として,履行の追完の請求,報酬の減額の請求,損害賠償の請求,契約の解除をすることができないとしています(636条本文)。

その上で,請負人がその材料又は指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは,履行の追完の請求等をすることができるとしています(同条ただし書)。
*改正法の下では,仕事の目的物が契約の内容に適合しないことが注文者の責めに帰すべき事由によるものである場合には,注文者は追完請求や報酬減額請求をすることができないものとされますが(559条において準用する562条第2項,563条第3項),請負に関してはより具体的な規定が置かれたものです。

数量に関する担保責任には適用がありません。

請負人の担保責任の期間制限

注文者は,目的物の種類又は品質に関して仕事の目的物が契約の内容に適合しないことを知った時から1年以内その旨を請負人に通知しなければ,請負人に履行の追完・報酬の減額・損害賠償の請求,および契約の解除をすることはできないとされています(民法637条1項)。
* ただし別途消滅時効の適用は受けます。
もっとも,請負人が引渡の時又は仕事終了の時に,不適合について悪意・重過失の場合は,1年間の期間制限はありません(同条2項)。

* 改正前は,目的物の引渡しの時又は仕事の終了の時から1年以内に,瑕疵の修補,契約の解除又は損害賠償の請求をしなければならないと規定されていました(改正前民法637条)。

* ここでいう「通知」は,売買の場合と同様に,単に契約との不適合がある旨を抽象的に伝えるのみでは足りず,細部にわたるまでの必要はないものの,不適合の内容を請負人が把握可能な程度に,不適合の種類・範囲を伝える必要があるものと考えられています。

数量に関する担保責任についてはこの規定の適用はありません

* 改正前は,期間制限について例外規定がおかれ,土地の工作物又は地盤の瑕疵については引渡し後5年又は10年の期間担保責任を負うと定められ,さらに土地の工作物が瑕疵によって滅失又は損傷した場合は,その期間は滅失又は損傷の時から1年とされていましたが,改正後は注文者が契約不適合の事実を知らないままに担保責任の存続期間が終了するという事態が生じないので,この例外規定は削除されました。

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