養子~普通養子縁組と特別養子縁組

このたび結婚することになったのですが、お相手の方に子供がいます。この子と養子縁組をするかどうか悩んでいるので、養子について教えてください。

妻と離婚したいのですが、妻と結婚するときに養子縁組をした妻の連れ子とも離縁したいです。離縁について教えてください。

特別養子縁組というのは、普通の養子縁組とは違うのですか?また、法律が改正されたと聞きました。特別養子縁組について教えてください。

普通養子縁組

効果

養子縁組とは、親子関係のない者の間に法律上の親子関係を創設する制度です。
養子は、縁組成立の日から養親の嫡出子としての身分を取得します(民法809条)。したがって、

  • 相続権が発生します。*実親と養親の双方について相続権を有します。
  • 養子は養親の親権に服します(民法818条)
  • 養子は養親のを称します(民法810条)。ただし、養子になった者が、婚姻によって氏を改めた者については夫婦の氏のままです。

成立要件

成立要件は、色々とややこしくなっています。

■ 養子縁組は、養親となるべき者と養子となるべき者との合意にもとづく養子縁組届受理されることによって成立します(民法799条)。

■ 養親は20歳以上である必要があります(民法792条)

■ 尊属または年長者を養子とすることはできません(同793条)

■ 後見人が被後見人を養子とする場合は、家庭裁判所の許可が必要です(同794条)

配偶者のある者未成年者を養子とするには、配偶者とともにする必要があります(同795条)。ただし、配偶者の嫡出子を養子とする場合はこの限りではありません。

配偶者のある者が縁組をするには、配偶者の同意が必要です(同796条)。もっとも、配偶者とともに縁組をする場合はこの限りではありません。

■ 養子となる者が15歳未満であるときは、法定代理人がこの者に変わって縁組の承諾をすることができます(同797条1項)。

  • これを代諾縁組といいます。15歳未満の場合は、子に意思能力があっても自分で縁組をすることはできません。
  • 代諾権者は法定代理人=親権者、後見人です。父母が共同で親権を行使している場合は、父母が共同で代諾権者となりますが、父母の意見が一致しないときは養子縁組できないことになります。
  • 児童福祉施設に入所中の児童に親権者・後見人がいない場合は、施設の長都道府県知事の許可を得て代諾します(児童福祉法47条1項但書)。

未成年者を養子とするには、家庭裁判所の許可が必要です(同798条)。ただし、自己又は配偶者の直系卑属を養子とする場合は、許可はいりません。

  • 15歳以上の子が自分で縁組をする場合も、代諾縁組の場合も、未成年者の養子縁組は、家裁の許可を得る必要があります。
  • 許可審判があっても届出をしなければ、縁組は成立しません。

妻の連れ子を養子にする場合:養子が未成年者であっても、家裁の許可はいりません。養子が15歳未満の場合は、妻の代諾で養子縁組できます。
孫を養子にする場合:孫が未成年である場合は、祖父母がそろって養子縁組する必要があります。家裁の許可はいりません。孫が成年であれば祖父母の一方とのみ養子縁組できますが、その場合でも他方の同意は必要です。
結婚するときに相手(配偶者)の親と養子縁組する場合:配偶者の親の一方とのみ養子縁組する場合でも他方の同意が必要です。

離縁

協議離縁

養子縁組関係は、両当事者の合意によって解消することができ(民法811条1項。協議離縁といいます。)、届出によって離縁が成立します。

*養子が15歳未満のときは、協議離縁は、養親と、離縁後に養子の法定代理人となるべき者の間で行われます(同条2項)。

当事者の合意が整わないと離縁はできないので、一度養子縁組をすると、一方の意思のみで簡単に離縁することはできません。

裁判離縁

当事者の一方が離縁に合意しないと、離縁したい当事者は、離縁調停→離縁裁判(訴訟)をしなければならなくなります。

裁判では、離縁原因が要求されます。

  1. 悪意の遺棄、
  2. 3年以上の生死不明、
  3. その他縁組を継続し難い重大な事由

です(民法814条1項)。つまり、理由もなく裁判できない(離縁原因がないと離縁は認められない)ということになります。

養子縁組は、連れ子養子の場合は家族関係の安定に資すると思いますし、節税(相続税対策)、後継ぎや扶養など、目的は様々です。
ただ、一度養子縁組をするとそうそう簡単には離縁できませんし、後に争いの種になることもあります。離縁の裁判となれば、弁護士へ依頼する必要にも迫られるでしょう。
養子縁組する前によく検討の上、決める必要があります。
事例1:妻の連れ子と養子縁組をしたが、妻と不仲になり、離婚の話になった。妻は離婚には応じたが離縁に応じない。→離婚しても子と離縁するまでは法的に親子関係がありますので、離婚後、養育費の支払義務が生じます。また、子と離縁できなければ夫の相続人はその子(養子)になります。万が一、夫(養親)が不慮の事故で亡くなるようなことがあった場合、養子のみが相続人となり、夫(養親)の両親などは相続できないという事態が生じます。

事例2:息子の妻が同居をしてよく自分たちの面倒を見てくれるからということで、息子の親が息子の妻と養子縁組をした。その後不仲になり、息子と妻が離婚した。→この場合でも元妻(養子)が離縁に応じてくれなければ離縁できず、元妻は息子(元夫)の両親の相続人のままです。特に、離婚後疎遠となり、長期間経ってから息子(元夫)の両親が亡くなったような場合でも、元妻も含めて遺産分割協議をしなければならないため、息子(元夫)のきょうだい達が納得できない思いを抱くことがあるでしょう。

離縁の効果

養子及びその配偶者、並びに養子の直系卑属及びその配偶者と、養親及びその血族との親族関係は、離縁によって消滅します(民法729条)。

養子は縁組前の氏に復氏し(民816条1項)、それに伴い、縁組前の戸籍に入ります(戸籍法19条)。ただし、配偶者とともに養子縁組をした場合に、養子が養親の一方とのみ離縁するときは、養子は縁組前の氏には復しません(民法816条1項但書)。
また、縁組の日から7年経過した後に離縁により復氏したときは、離縁の日から3ヶ月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離縁の際に称していた氏を称することができます(同条2項)。
*離婚の場合と異なって財産分与の規定はありませんが、養子の協力で養親が財産を形成した場合には、このような寄与を評価して財産を精算すべきであると考えられています。

特別養子縁組

特別養子縁組は、縁組の日から実親との親子関係を終了させ、養親との間に実親子と同様の親子関係を成立させる縁組です。

特別養子縁組は、家庭裁判所の審判によって成立します(民法817条の2第1項)。特別養子縁組が成立すると、実親との親子関係は終了し(民法817条の9)、養親子は原則として離縁をすることができなくなります。

*特別養子縁組については、児童養護施設に入所中の児童に家庭的な養育環境を提供するため、特別養子縁組の成立要件を緩和する法改(民法、家事事件手続法及び児童福祉法)がなされ、令和2年4月1日より施行されています。
改正のポイントは、①対象年齢の拡大と、②家裁の手続の合理化・養親候補者の負担軽減です。

成立要件

養親の要件

特別養子縁組の養親となる者は、配偶者のある者でなければならず、夫婦ともに養親となる必要があります(民法817条の3)。ただし、夫婦の一方が他方の嫡出である子の養親となる場合はこの限りではありません。

養親は25歳以上でなければなりませんが、夫婦の一方が25歳に達している場合は、他方は20歳に達していればよいです(同817条の4)。

養子の要件(改正)

特別養子縁組の請求のときに15歳に達している者は養子となることができません。ただし、養子となる者が15歳になる前から引き続いて養親となる者に監護されている場合で、15歳になるまでに特別養子縁組の請求がされなかったことにやむを得ない事情がある場合は特別養子縁組ができる場合があります。特別養子縁組が成立するときまでに18歳に達した者も養子となることができません(同815条の5第1項、2項)。

養子となる者が15歳に達している場合はその者の同意が必要です(同条第3項)。

*改正前:原則6歳未満→改正後:原則15歳未満と上限年齢が引き上げられました。

実父母の同意

特別養子縁組の成立には、養子となる者の父母の同意が必要です。ただし、父母がその意思を表明できない時又は父母による虐待、悪意の遺棄その他養子となる者の利益を著しく害する事情がある場合は不要となることがあります(同817条の6)。

審判の基準

特別養子縁組は、父母による監護が著しく困難又は不適当その他特別の事情のある場合で、子の利益のために特に必要があると認めるときでなければできません(同817条の7)。

特別養子縁組を成立させるには、養親となる者が養子となる者を6か月以上の期間監護した状況が考慮されます(同817条の8第1項)。

成立手続(改正)

二段階手続導入

特別養子縁組を成立させるためには,以下の2段階の手続を踏むことになりました(家事事件手続法164条、同164条の2)。

  1. 特別養子適格の確認の申立て
    実親による養育状況実親の同意の有無等を判断する審判の申立です。
  2. 特別養子縁組の成立の申立て
    →養親子間の縁組関係の成立を判断する審判の申立てです。

養親となる者が,特別養子適格の確認の申立てをする場合は,特別養子縁組の成立の申立てと同時にしなければなりません(同164条の2第3項)。

養親候補者は、上記1.の審判における裁判所の判断が確定した後に試験養育をすることできることになります。
*改正前は手続が2段階に分かれていませんでしたので、実親による養育状況に問題があると認められるのか分からないまま、試験養育をしなければなりませんでしたが、改正によってこのような状況が改善されました。

同意の撤回制限

実親の特別養子縁組成立の同意は、家裁調査官の調査を経たうえで家庭裁判所に書面を提出してされた同意ないし審問期日にてした同意の場合は、同意の日から2週間を経過すると撤回できなくなります(同164条の2第5項)。
*改正前は、実親の同意が得られてもいつ撤回されるか分からず、撤回されれば特別養子縁組は成立できないので、撤回に対する不安を抱きながら試験養育をしなければなりませんでしたが、改正によってこのような状況が改善されました。

児童相談所長の関与

児童相談所長は、特別養子適格の確認申立をすることができ(児童福祉法33条の6の2)、家事事件手続法42条7項の「利害関係参加人」として手続に参加することができます(児童福祉法33条の6の3)。
*養親となる者のみならず、児相が上記1.の申立ができることになったことによって、養親となる者が実親と対立して、実親の養育状況等を主張・立証しなければならなかった改正前の負担が軽減されました。

特別養子縁組の効果

養子と実方の父母及びその血族との親族関係は、特別養子縁組によって終了します(同817条の9)。

特別養子縁組は、原則離縁は認められませんが、養親による虐待、悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する事由がある場合で、実父母が相当の監護ができる場合には、家庭裁判所は、養子実父母または検察官の請求によって、離縁させることができます(同817条の10)。*養親は離縁を請求できません

 

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